2000/10/20（金）

朝6時に目覚ましで起きる．ホテルの部屋には時計がないので， 持ってきた腕時計のアラームをかけておいた．明日ちゃんと 動くかどうかの予稿演習の意味もある．

しばらく日記をつけ，7時に朝食．8時半から最初のセッションだが， 少し前に会場へ．今日の朝のセッションでは堀さんが発表なので， 英語の説明の実験台になる．

今日の朝のセッションは，ポスターのRecognition and Understanding of Spoken Language-3,4 だ．認識関係の発表が詰まっている．特にサーチ関係 （辞書木の構成，候補の管理，factoring等）が多い 気がした．気になった発表は次の通り．

• Decoding speech in the presence of other sound sources --- 非定常雑音がある環境でのデコーディング．サブバンド上で 成分の大きい領域をいくつかのクラスタに分け，それぞれを 音声とみなした場合と非音声とみなした場合で複数の仮説 を作ってデコーディングする．
• A three-stage solution for flexible vocabulary speech understanding --- CMUの発表．検出された未知語を単語として登録しようと言う話だが， 研究の大部分は，「発音から妥当なスペルを推測する」というものだった． おもしろいが日本語の場合は関係なさそう．
• A tree-trellis n-best decoder for stochastic context-free grammars --- CFGを使ったデコーダを作ったという話．もともとが正規文法なものは FSAに変換して，そうでないものはPDAを構成してから解析する． CFGによるデコーディング自体は新しくないと思うのだが...
• Pruning of state-tying tree using Bayesian information criterion with multiple mixtures --- 音素決定木によるクラスタリングや 混合数の増加の基準としてBICを使ったという発表．分布の分割後に 状態をマージしていると言うので，混合分布を持つ状態をどうやって マージしているのか聞いたところ，状態をマージしてから混合分布 を再計算しているようだ．
• Very fast adaptation for large vocabulary continuous speech recognition using eigenvoices --- 個人ごとの平均ベクトルを 主成分分析して，その主成分からなる部分空間を取りだし，その空間を 別な空間に写像することによって適応をするというアイデア．

きょうは豚のスペアリブの前菜，チンゲンサイとしいたけの煮物， 鶏肉とカシューナッツときゅうりの炒め物，それに羊肉の餃子， 豚肉の餃子，海鮮餃子（カニ）を食べた．

それに，棗やクコが入った お茶．注ぎ口の長〜いやかんで注いでくれる．このお茶は以前もらったことが あるのだが，飲み方が良くわからなかった．底に氷砂糖が入っていて， 何度もお茶を注がれるうちにだんだん甘くなってくる．

おなかがいっぱいになったところで会場に戻る．午後前半は， Adaptation, Acquisition in Spoken Language Processing -1 のセッションを聞く．

• Class-based language model adaptation using mixtures of word-class weights --- クラスモデルで，クラスから単語が生成される 確率のほうだけを適応すると言う話．何をいまさら，という感じもする．
• A language model adaptation approach based on text classification --- 発話のクラスタリングの話．距離の定義に特徴が あったような気がするけど忘れた．混合方法は線形結合．

途中でセッションを抜けて，隣の Spoken Language Resources, Labeling and Assessment のセッションを聞いたりする．フリーの音声処理ツールである Wavesurfer の発表が聞けなくてちょっと残念．

後半はAdaptation, Acquisition in Spoken Language Processing -1 のセッションを聞く．このセッションは，ほとんどがMLLR関連．

• Using maximum likelihood linear regression for segment clustering and speaker identification --- 音声をセグメンテーションするのに，分割したセグメントに対して計算した MLLRの変換行列を使おうと言う話．変換行列が似ていれば，同じ人が話している というわけ．
• Structural maximum a posteriori linear regression for unsupervised speaker adaptation --- MAPLRの事前分布を階層的に 定義しようと言う話．詳しい部分は良くわからず．
• A nonlinear unsupervised adaptation technique for speech recognition --- 話は良く理解できなかったが，有効らしい．
• Using class weighting IN INTER-CLASS MLLR ---- クラスベースのMLLRで，クラス間の関係も考慮しようという話．

我々が入ったときには，日本人高校生の修学旅行と見られる一団が 出て行くところだった．ICSLPご一行さまは二階席に連れて行かれる． ホールは結構広いのだが，座席は満席で，ほとんどが外国人だ．

雑技は，大体オーソドックスな演目．空中ブランコ，体の柔らかい女， 足の上で子供を回す女，等々．雑技を見ると，人間って何だろうと考えて しまう．休憩の後，影絵．声で形態模写をしながら手で影絵を作る という，それ自体は他愛ないものだが，これが非常にうまくて大変 受けていた．筒に入る女の子3人，自転車の芸，皿回し．面白かった．

雑技の後，バスに乗って夕食へ．最初の説明では8時半ごろという 話だったが，もう9時を回っている．バスは街を少し走って， なんか暗い路地に入っていく．中にはディスコ「熱○」があるのだが （伏字じゃないよ），ディスコに 行くのではなさそうだ．そこでバスを下ろされ，ぞろぞろと歩いていく． ディスコ前ではかっこいい兄ちゃんたちが たむろしていた（10年前の日本のようだ）．その奥にある 「 イ泰家村大酒店」（イ泰は1文字）に入った．入り口には 象さんの人形があって，従業員が鐘と太鼓でお出迎え．

タイ料理の店なのかとそのときは思ったが，後の説明によると， 「イ泰」は中国の少数民族の一つなのだそうだ．本当かな． いずれにせよ南のほうだろう．中に入ると，ちゃんとした料理が出る． 水曜日の（行けなかった）京劇ツアーでは，ディナーと称して マクドナルドのハンバーガーを食わされたそうなので，それと比べれば ずいぶん上等だ．メニューは，たけのことフクロタケのスープ， 豚肉の炒め物，ナスの炒め物（これが「ラーメン味」でうまいんだ）， ばら肉とわらびの炒め物，鯉（のような魚）の姿煮，鶏のから揚げ， あと何だったか一品ぐらいと，ごはん．お茶は例によって長〜いやかんで ついでくれる．追加で燕京ビールを頼む．北京料理ではないようだけど， 結構うまい．

食事をしていると，踊りのパフォーマンスを休みなくやってくれる． 中国語でアナウンスがあると，みんな何を言ってるんだかわからないが ともかく拍手して，パフォーマンスが始まるのだ．

中にパンフルートの演奏があって，演目が「コンドルは飛んでいく」． ちょっと違うのでは．踊りは全部で７〜８種類もあったろうか． 最後は客もみんなでフォークダンス．盛り上がる．

おなかもいっぱいになって，10時過ぎにバスでホテルに戻る． このツアーはなかなか良かった．

次の日へ 目次へ