その後部屋に戻り，荷物のつめかえ．とりあえず空港での集合時間は9:45なので (飛行機が遅れてるけど)，それに間にあうよう，ホテルを8:45のバスで出る．途 中検問があり，パスポートをチェックされる．
9時頃に成田空港着．まず，あらかじめ送っておいたスーツケースを受けとる． 今回もディスカウントチケットなので，団体カウンターで 航空券を受けとるしくみになっている．今回の"Budget Tour"(いかにも安そう) のかんばんはまだ出ていない．最初に両替をしておこうと思い，銀行カウンターへ． $400位にしようと思って50000円換えたら，$400を切ってしまった(手数料込みで， 1ドル=125円)．円安とはいえレートが悪いぞ富士銀行．しばらくガイドブック などを見ながら時間をつぶし，9:45にカウンターに行ったらツアー名があった． まわりのツアーは「ギリシア・ローマXX日間」「イタリアのXX」「エーゲ海クルーズ」 等々で，これじゃ飛行機の席を取るのが難しいわけだと納得．カウンターで 飛行機の遅れについて聞くと，カウンターのおねえさんは
成田の店を少し見て歩き，12時過ぎに出国．出国ゲートの外では，西洋人風の3歳位 の男の子が「飛行機だー」と騒いでいる(日本語で)．そのお母さん(日本人風)は， いま免税店で買った化粧品で化粧にいそしんでいる．
免税店を少し見た後，出発ゲートへ，私と同じアリタリア航空でローマまで行く ゲートには，そこだけ人がたくさんいる(それはそうだろう，2時間遅れだもんね)． しばらく待っていると，後発のBritish Airその他の乗務員は次々と来るのに， アリタリアの乗務員は全然来ない．これもイタリア人の気質か．
出発時刻近くになって，ようやくゲートが開く．これでは2時間遅れの出発も あやしそうだ．とりあえず座って待っていると，しばらくして(遅れて)出発． ほとんどの客が日本人の観光客で，添乗員もけっこう乗っている．前の席は 中年の団体で，若い添乗員らしいおねえさんが一緒だ．全体に，中年の団体客と， 若い女数人のグループが多いようだ．
飛行が安定したところで，飲みものが配られる．私は白ワイン，妻は オレンジジュース，娘は牛乳．そのあと機内食が出る．もともと11:45発で昼食 にするための機内食だし，昼食はさっき食べたばかりなので，何とも半端な食事 だ．私がもらったのはカジキマグロ照りやきとごはん，寿司，クラッカー， カマンベールチーズ．妻と娘は照りやきのかわりにチキンのトマトソースと ラザニア．カジキマグロはぼそぼそしてまずい．
機内では映画(「ライアーライアー」，他)をやっているが，見ない．娘はなかなか 寝なくて，セーラームーンの着せかえをやったりしている．
その後，何となく寝たり寝なかったりして数時間過ごす．機内は暗いのだが， 時々前のおじさんが窓のシャッターを開けるので，その時だけ機内が明るくなって 目が覚めてしまう．迷惑だ．迷惑といえば，隣に座っている娘は，寝たら寝たで 激しく寝返りをうってケリを入れてくる．娘との間に枕を置いて防衛．
一旦機内が明るくなって，軽食がでる．余計なお世話だ．ジュースと クッキー数個．
しばらく寝た後，ようやくヨーロッパに入った．オーストリア上空あたりで夕食． パン，プリン，ビスケットのような菓子，チキン料理．前のおじさんたちは， 窓から雪を頂いた山を眺めてしきりに感心している．
その後，19時(イタリア時間)前にミラノに到着．成田に来てから知ったのだが， この飛行機はミラノ経由なのだった．機内で出発を待つこともできたのだが， 一旦待合室に出ることにした．ボーディングブリッジを出たあと，グルグルと 歩かされた後，ようやく出発ゲート(元降りた場所)に戻ってくる．そのまま 待合室に出してくれれば話が早いのに．ミラノ空港の中で，NESTEA(ピーチ) とマシュマロを買う．イタリアで時間があるとは思わなかったので，リラは 全然持っていない．ここではさいわいカードで買えた．NESTEA缶は非常用にキープ しておくつもりで買ったのだが，咲菜が欲しいというのでその場で飲んでしまう．
予定時刻を過ぎてミラノを出発．しばらくして，機内アナウンスが入る．「本機 ローマ着は20:20の予定です．」おい！このままではアテネへの乗り継ぎができない！ 「まあ，この飛行機がこの調子だから，アテネ行きもきっと遅れるよ」などと 言いつつも，不安な気持ちでしばらく過ごす．同じようにアテネに乗り継ぎする 客がいて，日本人スチュワーデスにアテネ便のことを聞いていた．
「アテネ便はもう出発してしまいましたので， ローマに着いたら指示に従ってください」
あーあ，やっぱり．こうなったら，じたばたしてもしょうがない．
機内では軽食にクッキーが出る．全部で8枚入っていて，すごい量だ．3袋もらったが， うち1袋をみんなで食べて，2袋は取っておく．
20:20も過ぎたころにローマ着．そのまま行くと，係員だか添乗員だかが， 「アテネ乗り継ぎは間にあいませんので，パスポートコントロールの所にある アリタリアのカウンターに行ってください」と叫んでいる． カウンターに行ってみると，同じ境遇の人たちがいるいる． カウンターで問いあわせると，「もうすぐ日本人スタッフが来るから待て」 とのこと．しばらく待っていると，アリタリアの日本人現地スタッフがやって来た． ロングヘアですらりとしたおねえさんである．彼女は乗客リストを取り出すと， 言った．
「××様，シングルでよろしいですか」
まあ泊まりだろうとは思ったが，いきなり本題に入ったな．私たちはツインルーム を頼む．明日のアテネ行きは9:05発だそうだ．これで少なくとも半日はつぶれる ことが確定． その後，やむを得ずイタリアに入国となったが，イタリアの入国は パスポートをろくに見もせず，スタンプも押さない．いいのかこれで？
入国して荷物のピックアップへ．どんどん荷物は出てくるが，いくら待っても 私の荷物は出てこない．いいかげん待ちくたびれたころ，アリタリアのおねえさんが 「アテネ行きのお客さまは，荷物は出ません」そーいうことは先に言えっての． 一同暗い気持ちで外へ．
外にはホテルの送迎バスが待っている．S.SEVERAというホテルに泊まりで， 翌朝6:15にホテルを出発だそうだ．「夕食と朝食がついております」って， もう9時を回って夕食でもなかろうに．
一同バスに乗りこみ，出発．空港近くのホテルかと思ったら，バスは街とは 反対方向の何もない方へ進む．しばらく走った後，高速道路に乗った．いったい 私たちをどこへ連れていくの？
車中は会話もなく静まりかえっている．ふと気がつくと，後に座っている 新婚らしいカップルが，ぼそぼそと話をしていた．聞くともなく聞いて いると，
そう，このカップルは日本で少し前に上映されたエヴァンゲリオンの映画 について語りあっていたのだった．来るはずじゃなかったイタリアの 高速道路を走る夜のバスの中で，エヴァを語りあう二人．私はこのカップル の未来の幸せを祈らずにはいられなかったのだった．
さて，まわりに何も見えない高速道路をバスはどんどん走る． 30分も走った後，ようやくホテルに到着．何もない道路のまん中に ポツンと立っているホテルで，ホテルというよりはコテージのような感じだ． ホテルの正面にテラスがあり，テーブルがたくさん外に並んでいる．せまい通路を むりやり通ってバスはホテルの裏で停車．チェックインをして部屋に行く．部屋は B12号だが，いったん外に出て，テラスを横ぎった先の離れのような建物にあった． 鍵がなかなか開かず苦労する．中に入ると，部屋が3つとシャワー，トイレがある． 部屋はシングルとダブルベッドの部屋が1つずつと，2階にツインが1つという構造 になっている．シングルとツインの部屋にはベッドと椅子と照明以外は何もなく， ダブルの部屋にテレビと冷蔵庫があるだけ．テレビはアンテナのケーブルのコネクタ がぶっこわれていて映らず，冷蔵庫は鍵が開いていなかった．
とりあえず実家に電話しようということになったが，イタリアに泊まるなどとは 思ってもみなかったので，イタリアの情報は何もない．ホテルの説明書を見ても， 0を押してからダイヤルしろと書いてあるだけで，国際電話の識別番号が何だか わからない．しかたないので，フロントに電話してみる．
私 "Hello. I'd like to make an international phone call." フロント "Huh?" 私 "I'd like to... I want to make an international phone call." フロント "What?" 私 "INTERNATIONAL PHONE CALL. OK?" フロント "I can't understand."なぜ通じない？私の英語が下手なのは確かだが，"international phone call" ぐらいは通じると思うのだが…自信をなくしつつも，しかたないので直接フロント に行ってみる．フロントの男と話をすると，何のことはない，この男は英語が 全然話せないのであった．"JAPAN"という単語と，電話の身ぶりで何とか理解して もらい，調べてもらう．結局，00+国番号で良いようだ．部屋に戻って， 実家に電話を入れる．電話代をどう払ったものか．カードがきくか，あるいはドル で払えるといいのだが．手元にリラは全くないのだ．
そうこうしているうちに，咲菜が「飲みものが欲しい」と言いだした．あいにく 手元に飲みものはなく，水道には「飲めない」と書いてある．冷蔵庫の中には ジュースがあるが，鍵は開いていない．やむを得ず，何かもらおうと食堂へ． 食堂では，元気のある数人が夕食を食べつつ話をしていた．親子3人で食堂をうろうろ して，店員とおぼしき人に "something to drink" というと，子供に飲ませるのだと 理解したらしく，牛乳をくれた．ここまで来ると，牛乳1杯に目頭が熱くなる思いだ．
部屋に戻って咲菜に牛乳を飲ませ，シャワーを浴びる．シャワーはなかなか熱く ならず，熱くなったら今度は熱すぎて調整が難しい．ますます悲しくなる．下着の 替えはないので，シャワーの後は元の下着を着て，寝る．疲れた．