9:39 米沢発．新幹線の中でノートパソコンを使って仕事をする．大宮あた りでバッテリーが切れそうになったため，中断．
11:40ごろ東京着．成田エクスプレスが出るまでちょっと時間があるので， 銀の鈴のフロアの店でサンドイッチとコーヒーを買って食べる．800円．その 後，成田エクスプレスのホームの一階上の待合所でしばらく待つ．椅子はほぼ いっぱいだったが，立って待てる台があり，その下にコンセントがあったので， そこから電源を取ってノートパソコンで仕事をする．周りにちょっと変な目で 見られる．ついでに ユナイテッド航空 の出発ターミナルを確認．第二ターミナルでない方だ．
13:03 成田エクスプレスで東京発．私の座った席の，通路をはさんで隣の席 の４人のグループが話をしている．どうやら旅行代理店か何かの人らしい．乗っ ていた飛行機が胴体着陸したとか，ホテルか火事になったとかいう話題で盛り 上がっている．
14時過ぎに成田空港着．久々にきたのでどこに何があるかすっかり忘れてい る．とりあえず出発ロビーまで登る．ユナイテッド航空は南ウイングだが，北 ウイングは改修中のようだった．カウンターでチェックインを済ませ，フライ トインフォメーションを見ると，乗ろうとしているUA828が点滅している．早 めに手続きしようと，利用料改札−出国−搭乗ゲートと進む．ここで家に電話 を入れた．まだ出発までには一時間以上あったので，もうちょっと免税店でも 冷やかしていた方がよかったかな．とりあえず，東京駅で充電した分を使って ３０分ぐらいノートパソコンを使う．
15時40分ごろに搭乗開始．これは早いな．出発までに３０分ほどはある．乗 り込んだら，ちょうど翼の横の席で，３人がけの真ん中だった．（翼の横の席 になることが多いのだが，料金をけちっているからだろうか）窓側に座ったの は，レゲエ頭の若い兄ちゃん．英会話の本（私も持っている「一人歩きの英語」… 私は今回持ってこなかった）と，烏龍茶の２リットルのペットボトル，チョコ レート(sasha)を携えている．英会話の本とチョコレートはともかく，烏龍茶 は何なのだろう．通路側に座ったのは，アメリカ人らしい女性（４０代ぐらい か）．サンフランシスコ在住で，日本の何とかいう会社でちょっと働いていた らしい．この女性は，出発前に席を替わってしまった．２つほど前の席に，ア メリカ人らしい夫婦（奥さんの方がデカイ）と子ども４人（うち一人は赤ちゃ ん）が乗っている．男の方が盛んに子どもを叱ったりして声を張り上げている．
16:15頃出発．台風で気流が悪いかと予想されたが，それほどでもなかった． 水平飛行後，ピーナツと飲み物が出る．白ワインを頼むが，味はいまいち．時 計をサンフランシスコ時間に合わせると，真夜中(0:30)である．すぐに寝よう かと思ったが，取り合えず夕食まで待つ．隣の兄ちゃんはすでに寝ている．
機内誌の ``HEMISPHERE'' を見る．コンピュータ関係の広告が多いのにちょっ とびっくり．飛行機の利用者はビジネスマン中心ということか？機内映画では ``Mission: impossible'' をやっている．見たかったが，見始めると寝られな くなるので，見ないことにした．
しばらくして夕食がくる．牛肉の煮込みと野菜，ジャガイモ＋ワイルドライ ス，サラダ，パン，デザートはカスタードプリンにブルーベリーソースがかかっ たもの．飲み物には赤ワインを頼む．肉料理はまあまあうまい．赤ワインはい まいち．
食うものを食ったので，寝ることにする．しかし，横を人が通ったり，前の 方で赤ちゃんがぐずったりしてなかなか寝られない．結局トータルで２時間ぐ らい寝たか．サンフランシスコ時間で４時ごろ，「フィラデルフィア時間では ７時ごろだから，もう起きてもいいか」とあきらめて，起きる．暇つぶしに買っ ておいた，養老孟司の「涼しい脳味噌」を読む．予想よりも軽いエッセイ集だっ た．いろんな雑誌に乗ったものを集めてあるので，同じテーマが繰り返し出て きてしまうが，まあそれは仕方ないだろう．
サンフランシスコ時間で６時半頃，朝食が出る．クルミと果物入りのマフィ ン，果物（キウイ，パイナップル，オレンジ），コーヒー，オレンジジュース． 隣の兄ちゃんはずっと寝ていて，朝食はとうとう食べなかった．機内ビデオで ニュースをやっているので，見る．インターネットのビジネスがどーのという 話をやっている．
７時ごろ，通路をはさんで横に座っていた若い女性の団体が，前の赤ちゃん に気づいて騒ぎ出す．母親から赤ちゃんを借りて，「かわいー」とかいいなが らつぎつぎに赤ちゃんを回して記念写真を撮る．「かわいいのは良いが，相手 は赤ちゃんだぞ，おいおい」と言いたくなる．
8:40頃サンフランシスコ着．いったん荷物が出て，入国審査．審査官に「何 のビジネスで来た？」などと聞かれ，少々困る．結局ICSLPの招待状を見せて 納得してもらう．その後の税関では「申告物なし」ですんなり通るかと思った ら，荷物チェックに引っかかった．荷物を開いて中を見せ，特に問題なくパス． 再び荷物を預け，出発ロビーへ．サンフランシスコ国際空港での出発ゲートを 知らなかったので，ちょっと迷う．出発ゲートを見つけ，手荷物チェックを通 る．ここの手荷物チェックは，国内線のくせにやけに厳しい．デイパックの中 を見せ，小銭入れの中まで確認された．出発ゲート付近の自動販売機で，M&M のチョコレート（マーブルチョコ風の）を買う．75セント．
出発ゲートの近くの待ち合いで，電総研の速水さん（と，もう一人）を見つ ける．フィラデルフィアの空港から，一緒にタクシーで行きましょうというこ とになる．ホテルは違うが，相乗りすれば少しは安くなる．
11:30頃サンフランシスコ発．今度は横６席の中型の飛行機だ．私は窓側で， ３人がけの席に二人だけだった．通路側に座ったのは白人のおじさんで，ペー パーバックの``Raise the Titanic!''を読んでいる．
窓側だったので外を見ると，晴れていて下が良く見える．延々とでこぼこし た荒れ地が続いている．この風景は地面を通るとすごいだろうな．
機内食で，おつまみと飲み物が出る．おつまみはプレッツェル（ただし結び 目のような形をしている），飲み物はコーヒーを頼む．プレッツェルは塩味が きつい．そのあと昼食で，牛肉のハンパーグと野菜とジャガイモ，茶色いパン のスライス，グラノラバー，コーヒー．ハンバーグは香ばしくてなかなかうま い．「涼しい脳味噌」の続きを読む．ビデオではショーン・コネリーが出てい る ``The Rock'' というのをやっていたが，ヘッドフォンが有料だったので見 なかった．
しばらくして，機内放送で機長が「目的地を変更うんぬん」と言っているの が聞こえる．よくわからないが，行き先が変更されるらしい．ちょっと不安だ が，乗客たちは特に動揺している様子もないので，まあ大丈夫なのだろう．
中部時間で17:00過ぎ，空港に降りた．フィラデルフィア到着時間より２時 間ほど早い．海の近くのように見えたので，いったいどこだろうと思っていた ら，シカゴ国際空港だった（海のように見えたのは湖だったわけだ）．これか らどうなることかと思ったが，６時にフィラデルフィア行きの飛行機が出ると いうことで一安心．どうやら飛行機のエンジンがオーバーヒートして，エンジ ン１基でここまできたらしい．
予定よりちょっと遅れ，18:15頃に飛行機が出発．この時間なら機内食が出 るかと思ってシカゴでは特に何も食べなかったが，中ではおつまみと飲み物し か出なかった．機内では，いかにもアメリカンコメディという感じのビデオを やっている．結局予定より１時間半ほど遅れ，21:00ごろフィラデルフィアに 到着．荷物を拾った後，電総研の二人といっしょにタクシーで町まで行く．タ クシーは割とボロで，運転しているのは老眼鏡を使う爺さん．大丈夫なのか？
電総研の二人を Wyndham Franklin Plaza Hotel におろした後，私の泊まる Abigail Adams' B&B へ．割とすんなり到着し，$24程度．電総研の二人に$14 だけ出してもらっているので，まあまあの値段だ．宿は小さいが，入り口は割 としゃれている．中に入ると，若い女の子がフロントをやっているので，とも かくチェックインする．もらった鍵には4504と書いてあるが，これは405号室 の鍵なのだそうだ．変なシステムだ．
部屋はまあまあ広いが，あまり物がなくてがらんとしている．洗面所，トイ レ，シャワー付き（風呂はない）．まあテレビはあるし，取り合えずこれで十 分か．まずは無事到着ということで，自宅に電話．
ここの部屋のドアに「チェックアウト時間は１２時」という注意書きがある のだが，こんなことが書いてある．
CHECK OUT TIME
IS
12 NOON
WE WISH YOU DIDN'T HAVE
TO LEAVE AT ALL
BUT IF YOU MUST, PLEASE REMEMBER
THAT OUR CHECK OUT TIME IS
12:00 NOON
***
OTHERWISE YOU WILL BE CHARGEED
FOR AN EXTRA DAY.
THE ANNOUNCEMENT
その後，ともかく眠いので，シャワーを浴びて，寝る．
朝2時半頃目が覚める．もう一度寝ようと思って静かにしていたが，なかな か寝付けない（眠いのだが）うちに，４時半頃になってしまった．お腹もすい てグーグー鳴っている（こんなに鳴ったのは久しぶりだ）．あきらめて，日記 をつける．
昨日ホテルに着いたときに，カードで清算したのだが，どうもその値段が間 違っているように思って気になる．レシートはチェックアウト時に出すようで， 手元にはないのだ．気になる．
７時過ぎに，どこで朝食を取るか聞くために，１階のフロントに行く．しか し，フロントには誰もいなかった．二階に食堂らしいスペースがあるが，誰も いない．うろうろしていると，男の人がやってきて「そこが朝食だよ」と教え てくれたので，さっそく食べることにする．それにしても，食べ物が置いてあ るだけで誰もいないとは．置いてあるのは，コーヒー，紅茶（ティーバッグと お湯），マフィン３種類，オートミール類数種とそれにかけるミルク．オート ミールは止めて，コーヒーとマフィンで腹ごしらえをする．マフィンは例によっ て甘ったるい．
その後身支度をして，もう一度フロントにいってみると，さっきの男の人が 座っていた．部屋代について聞いてみたが，どうも大丈夫のようだった．一安 心．
宿であるAbigail Adams' B&B はダウンタウンの中心にあり，会場のWyndham Franklin Plaza Hotel はそこからちょっとはずれた所にある．とりあえず会 場まで歩いていくことにする．途中にCity Hallがあるのだが，いかにもアメ リカ的というか，ごてごてした教会建築のような建物で，ご丁寧に入り口上に ``JUSTICE''と書いてある．アメリカ人は本当にこういうのが好きだなあ．さ らに歩くと，Wyndham Franklin Plaza Hotel の高層建築が見えてくる．宿か ら歩いて１０分といったところであろうか．思ったより近い．
ホテルの中に入ってみたが，広くてどこで何をやっているのかわからない． しばらくうろうろしていたが，しかたないのでエスカレータで２階に上ってみ ると，受け付けがあった．今日はICSLPのプレイベントのISSDがある．受付を 済ませて参加費$100を払うと，例の音言バッグに入った予稿集をくれた．音言 バッグはこれで３個目だ．今回は，ノートとシャープペンシルのおまけつき． さすがにちょっとだけサービスが良い．（ほかの参加者を見てわかったのだが， 同じプレイベントのIVTTAではシステム手帳をくれたらしい．）会議は９時か らだが，まだだれも会場にいないので，会場の外でちょっとノートパソコンを 広げて仕事をする．
９時から会議が始まり，午前の招待講演が始まる．京大の堂下先生が発表． 午前は招待講演がその他２件．
昼になったので，日本の大学の先生たち７人で食事をしに行く．外は時折小 雨がぱらつく天気だったが，近くの小さいレストランまで行って食事を取った． 食べたのは牛肉とピーマンの炒めものにインディカ米が混ざったもの．中華料 理風である．食事の席では，研究費の捻出の話など少々生臭い話で盛り上がっ た．飲み物と税金を入れて，一人$9.00．
13:30から会議を再開．日本時間では未明にあたる時間でもあり，昼食の後 ということもあって，激しく眠い．他の日本人も同じらしく，あっちこっちで 居眠りをしている．途中にコーヒーブレークがあったのだが，コーヒーぐらい では収まりそうにもない．このコーヒーブレイクの時間に，ICSLPの受付をす る．余分に頼んだ予稿集のことでちょっともめたが，おおむね順調．それにし ても予稿集は重い．またトートバッグが増えた．
必死に眠気をこらえて（途中何回か寝たが）16:30頃に会議が終わる．その 後宿に戻って，とりあえず荷物を置き，食事に出かけた．夕飯はインド料理か 中華料理か迷ったが，中華料理屋「来来」に行く．セットメニュー$8.50を頼 み，``Wonton soup''``Pepper steak with onion''を頼む．中華料理だからス テーキがくるはずがないと思ってはいたが，来たのは牛肉の炒めものだった． 青椒肉絲の細くないやつといった感じ．インディカ米が添えてある．考えてみ ると，昼に食べたのと似てるなあ．スープに入っていたワンタンは，やたらと 厚くてちょっと大味だった．その外にえびせんべい（ちょっと脂っこい）と， 最後に定番のおみくじクッキーがついた．おみくじは吉だった．
店を出て宿に入る前に，近くの食料品店を冷やかす．なんというか，チョコ レートバーとかシナモンケーキとか，甘ったるくて口に残りそうなお菓子ばか り山のように売られている．夕べお腹がすいていたので反省して，クッキーを 買ってみる．その外にココナツ味のアイスバーを買った．$3.25．アイスバー は宿に戻ってすぐ食べてみた．味は見かけよりもあっさりしているが，ココナ ツミルクの歯ざわりがちょっと気持ち悪い．その後，コレクトコールで家に電 話．電話代がかさむなあ．
明日のポスターをチェックした後，日記をつけて，寝る．
７時に目が覚める．今日は調子がよさそうだ．身支度をして，食堂でコーヒー だけを飲んで，すぐに出かける．今日は発表なので，朝は会場で``Speakers' breakfast''があって，朝食が出るのだ．
８時ちょっと前に会場につき，朝食会場に行ってみる．やけに狭い．今日の 発表者と座長が一堂に会するはずなのだが…．知り合いの日本人が何人か来て いたので聞いてみたが，その人たちの座長も来ていないという．私のセッショ ンの座長も来ていなかった．そもそも，発表者全員が来てしまったら，座るど ころか立ってはいるのも難しいだろう．とりあえずマフィンとコーヒーで朝食 を済ませて部屋の外に出る．
最初のセッションは全体講演である．少し早かったが部屋に入って，仕事を している．そのうち人がだんだん入ってきたが，数百人は入ろうかというホー ルがいっぱいになって，立ち見が出るほどの盛況ぶりだった．講演の内容は， 言語の知覚過程が言語によってどう変わるかの比較研究で，なかなか興味深かっ た．
２番目から分科会に入る．私が聞いたのは，大語彙連続音声認識のセッショ ン．日本人の発表の前にどっと人が抜けたのが何とも．（まあ，昼前で早目に 昼食に行った，というものあるかもしれない．）
午後からポスター張りをしなければならないので，昼食は近くのSUBWAYでミー トボールサンドとコーヒーで軽く済ませる．$2.88．戻ってみると，会場の前 でもサンドイッチやら何やら食べ物を売っている．こっちの方が手軽でよかっ たかな．しばらく待って，１時半頃にポスターを貼る．午後前半のセッション は２時からで，この時はポスターではなく講演の方「言語モデル１」を聞いた．
午後前半のセッションが終わり，いよいよ発表になる．最初は，午後後半の 時間全体のうちの後半の発表の予定だったが，行ってみるとどうやら前半の発 表になるようだ．というわけですぐに説明を始めるが，始めてみるとなかなか 思ったように説明ができない．３年前にミネアポリスに来たときよりも英語力 が落ちているのではないだろうかと思う．１回目の説明は日本語のできる韓国 人相手だったので，何とか理解してもらう．予想どうりというか，セッション の中ではあまり人気がなかったが，それでもぼちぼち人が来るので，その都度 説明をする．やはり日本語のわかる人が多かったが，そうでもない人も何人か 来た．時間の前半が終わり，持ち場をさっさと離れて他の説明を聞く．このセッ ションはいろいろな分野が割と混ざっている「その他」の様相を呈しているが， 興味ある発表も何件かあった．
セッションの時間が終わり，ポスターをはがして，外に出た．この後別な会 場でレセプションがあるが，疲れたのでそちらはパスしよう．宿に戻る途中， ちょっと横に入ったところにWoolworth（中規模の何でも屋）があるので，そ こにちょっと寄って中を眺める．ギフトやおもちゃなどをちょっと眺めた後， 何も買わずに外に出た．時節柄，ハロウィン用品が多かった．
宿に戻り，上着を縫いでベッドに横になる．終わった，という実感とともに， 足に疲労感が来る．そのまま少し休むつもりだったが，つい寝てしまった．
目が覚めると，夜８時過ぎ頃だった．夕食を食べに外に出たが，どうもレス トランで食事をする気力もないので，近くの酒屋でワインを買い（約$7.30）， その横の食料品店でパンとチーズ，バナナ， ＳＰＡＭ（缶入りハム） を買って （約$8.15）かえる．宿に戻って家に電話を入れる．買ってきたものを食べて 夕食にするが，ワインはやたらと甘かった．このワインは CARMEL KING DAVID SACRAMENTAL というイスラエル産の赤ワイン．MEDIUM SWEET RED WINEと書い てあるが，これでMEDIUMなら，一番甘いのはいったいどういうワインなんだろ う．パンとチーズはとても多くて，全部は食べられない．ＳＰＡＭは一部でま ずいと有名な食品で，インターネット上には，ＳＰＡＭのまずさを歌に詠んだ 「 スパム俳句」（英語）というのが数百首以上も掲載してあるのだ．だが，噂よ りは食べられるものだった．難を言えばちょっとしょっぱいかな．裏にはＳＰ ＡＭを使った卵料理 ``SPAMABLE EGG'' のレシピが載っている．何だかなあ．
6:40ごろ起床．食堂からコーヒーとマフィンを部屋まで持ってきて，ゆうべ 残ったバナナとSPAMと一緒に食べる．テレビをつけたら，ハイランダーのアニ メをやっていた．チャンネルをかえるとテレビショッピングで，化粧品の宣伝 を延々と２０分以上やっている．オリビア・ニュートンジョンが出てきて「オ リビアのMARAE」と言って宣伝している．開発者がある日ブラジルの海岸を歩 いていると，海草を集めている漁民の手がすべすべなのに気がついて…という 本当かうそか分からないような開発秘話とか．
少し時間があるので，会議の予定を見て，いつ観光するかの計画を立てる． 今日の午前最初のセッション，明日の午前，明後日の午後あたりが空けられそ うだ．午前中にThe Liberty Bellでも見てくるか．
宿を出て，学会の会場とは反対方向に向かう．外は風が強くて肌寒い．宿か ら１０分ぐらい反対に歩いたところに独立記念公園があり，The Liberty Bell （自由の鐘）が飾ってある．アメリカ独立のときにならした鐘だそうだが，現 在はひびが入っているので鳴らすことはできない．ガラス張りのパビリオンの 中に展示してあるだけだ．ツアーらしい人たちに，係員のおじさんが何やら説 明している．この辺はいかにも観光地らしく，写真を撮っても特に場違いな感 じはしない．観光客相手らしい馬車が数台停まっていた．
その周辺の施設はまだ開いていないだろうから，学会会場に向かって歩く． ９時半頃で，ちょうどいろいろな店が開きはじめる時間だ．雑貨屋は，昨日と 同じく軒並み黄色いかぼちゃが店頭に並んでいる．おもしろかったのは，「な んでも１ドル」という店があったことで，日本の百円ショップのようなものか． そこから少し歩いたところに，「99セントショップ」があって笑ってしまった．
会場のホテルを通り過ぎて先に進む．少し行ったところに，``Logan Circle''がある．公園のような場所の真ん中に噴水があるが，これがまたアメ リカ人の好きそうなデザイン．魚やら蛙やらの口から水が吹き出している．そ ういえばシドニーにも似たようなものがあったっけな．公園で少しやすんでか ら，会場のホテルに行く．
午前後半のセッションから聞きはじめる．このセッションは，「機械による 言語獲得」というセッションだが，内容は結構まちまちである．これまた日本 人の講演の前にどっと人が抜けたのが印象的だった．
セッションは12:30頃終わる．午後前半のセッションは２時からなので，昼 休みの間にどこかちょっと見て歩こうと思う．会場の近くには，たくさんの美 術館や博物館，動物園などがある．一番大きいのは Philadelphia Museum of Art だが，ここは大きすぎて昼休みだけでは回れないだろう．そこで，手ごろ な大きさのロダン美術館に行くことにした．ロダン美術館は，その名の通りロ ダンの彫刻を集めた美術館で，パリ以外では世界最大規模なのだそうだ．
会場を出て，昨日昼食を取ったSUBWAYに行き，ターキーのサンドイッチとコー ヒーを頼む．$3.95．今日頼んだサンドイッチには，野菜がたくさん入ってな かなかうまい．ただ，ピクルスに「当たり」があって辛かった．昼食を食べお わった後，ロダン美術館に向かって歩く．ロダン美術館は，そこから歩いて数 分の所にある．建物の前までいくと，正面に「考える人」がでんと構えている． 本館に行く石の階段は結構崩れていて，一見廃虚のようでもある．ロダン美術 館の入館料は無料で，そのかわり寄付をすることになっている．１ドルぐらい ということであったが，日本でロダンを見ることを考えて，５ドル寄付する．
中に入ると，大小さまざまな彫刻が展示してある．入り口のところで，係員 の白いひげのおじさんに，なぜか「デイパックを降ろせ」と言われたので，デ イパックを手に持って中を回る．特に目を引くのが，有名な「カレーの市民」 の群像と，「地獄の門」のレリーフ．「カレーの市民」は迫力がある．その外 にもたくさんの小さな彫刻がある．（一部はイタリアに貸し出し中であった．）
１時半過ぎに会場に戻り，午後前半のセッション「音声と自然言語処理１」 を聞く．セッションが終わるとコーヒーブレイクがある．昨日は人が多すぎて とてもコーヒーどころではなかったが，今日は少し余裕があるようだ．パンの ような食べ物とコーラをもらって飲み食いする．午後後半のセッションは，同 じく「音声と自然言語処理２」だが，途中発表者が来ないというハプニングが あり，その間１５分休憩になった．
17:30にセッションが終わり，宿に戻る．途中商店街を通って，お土産を物 色する．最初にギフトショップに入ってみたが，あまり良いものがなくてその まま出る．つぎに昨日のWoolworthを通り過ぎて，比較的大きいドラッグスト アに入ってみる．ドラッグストアといっても，ハロウィン用品からおもちゃ， 食品，薬に化粧品に文房具と，これまた何でも売っている．この店で，ハロウィ ンの光るおもちゃ，カード，クリスマスソングのＣＤ，マグカップ，ヒーター を買う．ヒーターはカップに入った水を沸騰させるための旅行用品である．こ れで，朝に食堂のティーバッグを盗んでおけば，いつでもお茶が飲めるように なった．全部で$26.71．
その後宿に戻り，食事に出かける．昨日はちゃんと食べなかったので（その 割に金はかかったが），今日はインド料理に挑戦しよう．初日に行かなかった， 近くのインド料理屋``Passage to India''に入る．（「インドへの道」って， 映画のタイトルだったかな．）中に入ると，インド人らしい太ったおじさんが 席に案内してくれる．その横では，ターバンを巻いた男が電話をかけている． 部屋にはシタールの音楽が流れている．取り合えずビール「タージ・マハル」 を頼み，メニューで料理を選ぶ．このところ安めの食事（中華料理屋は特に安 かった）なので，ちょっと贅沢してもいいかなと思い，フルに頼むことにした． 前菜にサモサ，えびのスープ，メインにタンドーリチキン，ナンを注文した．
しばらくして，スープとサモサが同時にやってくる．スープは，トムヤムク ンをちょっとマイルドにした感じ．サモサはジャガイモとグリーンピースが詰 まった揚げ餃子で，皮はほのかにカレーの香りがする．これを茶色い謎のタレ につけて食べる．けっこういける．サモサとスープを食べおわって，ビールを 飲みながらしばらく待つ．数分して，タンドーリチキンがやってきた．
私が以前タンドーリチキンを食べたのは，仙台の「ナマスカ」のコース料理 だけだった．そこで出たチキンは，ケンタッキーの小さ目のピースぐらいの大 きさであった．そのつもりで注文していたのだが，出てきたのは大きなステー キ皿に載った赤くて大きい二本の鶏もも肉であった．同時に，中皿に山盛りに なったインディカライスと，小皿に載った赤っぽいカレーの様なものがやって きた．これは多い．多いったら．
ボーイが，「鶏肉をカレーにつけて食え」というようなことを言った（らし い）ので，必死で食べる．店内でかかっていたシタールの音楽は，いつのまに かピアノの生演奏に変わっていた．それを楽しむ余裕もなく，必死に鶏肉を食 べる．うまいが，多い．ふと考えてみると，アメリカに来るのも３回目だし （１回はハワイだけど），いつのまにかアメリカを甘く見ていた自分に気がつ いたのだった．そうだ，ここはアメリカだったのだ．チキンがどのくらいの量 か，ボーイに聞くべきだった．しきりに反省しながら食べていると，結構食べ られるもので，チキン２本を何とか食べてしまった．続いてライスに取り掛か るが，この後ナンが来るかと思うと，頭がくらくらしてきた．ともかくライス にカレーをかけて食べる．うまいが，やはり多い．再び音楽がシタールになっ たところで，筋肉少女帯の「日本印度化計画」が頭をぐるぐる駆け巡っていた．
ライスを何とか全部平らげる．別に残してもいいのだが，全部食べてしまう ところが日本人だ．チキンよりも，ライスの方が腹にこたえた．一休みしてい ると，ボーイが皿を下げて，「コーヒーかデザートは？」と聞いてきた．とい うことは，ナンはもう出ないのか？ありがたい．デザートが入るお腹はないの で，コーヒーを頼む．しばらく待ってコーヒーがやってきたが，金属製のポッ トで持ってきたコーヒーは，中型のカップに２杯以上あった．コーヒーを飲ん でいるところで，おじさんが伝票を持ってきた．税込み$29.74で，ビールを飲 んだ上に料理を死ぬほど食べた割には安い．伝票で確認すると，やはりナンの 代わりにライスが来たらしい．テーブルをちょっと汚したので，チップを５ド ル置いてくる．
宿に戻って，家に電話する．その後ちょっと休んで，日記をつけた．そのあ と，すぐに寝る．シャワーは朝に浴びることにしよう．
朝５時半頃目が覚める．そのまえにも，１時ごろ一度目が覚めている．夕べ も何回か目が覚めた．ここ二日ばかり，どうも良く眠れないようだ．ノートパ ソコンで２時間ばかり仕事をする．８時前に朝食を取って，ちょっとテレビを 見たりしながら，今日の計画を立てる．今日は土曜日なので，テレビのほとん どのチャンネルは子供番組かテレビショッピングだ．セサミストリートをやっ ていたが，なぜかこの番組の英語だけよく聞き取れる．セサミストリートだけ 見ても英語はうまくならないということか．
今日は午前を観光に当てるつもりだが，Liberty Bellの付近はそれ以上特に 見るところもないようだったので，美術館か科学館を見ることにする．どちら も時間がかかりそうだが，科学館の方が開くのが早いので，今日はそちらを見 ることにしよう．
科学館や美術館などは，学会会場と同じエリアにあるので，いつものように 会場に向かって歩く．今日は土曜日なので，町はいつもより人通りが少ない． 会場を通り過ぎ，Franklin Institute Science Museumについたのが9:15ごろ だった，ちょっと早かったので，周辺をちょっと歩きまわる．科学館にくる途 中で，いろいろなところの写真を撮っていたら，科学館の写真を撮ったところ でフィルムがなくなってしまった．
科学館は，展示・映像展示(Omnivas Theatre)，プラネタリウムからなってい る．それぞれ別料金だが，全部見る時間はないだろうと思い，展示だけのチケッ トを買う．$9.50．２階では，特別展で，SFX特集をやっている．マットペイン ティング，ＣＧ，模型，特殊効果などおなじみのものがならんでいる．恐竜家 族のマペットが機械仕掛けで動くというのもあった．３階は常設展で，造船と 機械・物理についての展示．機械関係の展示で，エネルギー保存則や運動量保 存則などの展示があって面白かった．４階は数学・天文についての展示．数学 というのが面白い（他の科学館で，数学の展示はあまり見たことがない）．多 面体の展示，カオス振り子，対称性についての展示など．よく科学館において ある「惑星の軌道」のモデルで，重力源が２つある「カオス軌道モデル」とい うのもあって面白かった．そこから１階に下がると，技術についての展示．マ イクロ波や光ファイバによる通信，電話の交換機，製紙，印刷機など．その後， 売店でおみやげのキーホルダーとＴシャツを買う．$28.94．
Franklin Institute Science Museumを出たのが１１時ごろ．この程度で見 られるなら，オムニバスシアターの方も見ればよかった．今からもう一度お金 を払うのも何なので，そのまま歩き出した．科学館の裏には，``Touch-me Museum for Children''という建物があるので行ってみる．子供用の展示があ る博物館らしいが，行ってみると子供の団体がぞろぞろと中に入っていくとこ ろだった．スーツを着たおじさんが一人ではいる雰囲気ではなかったので，入 らずに通り過ぎる．
さて，科学館を回るのが予想外に早かったので，この勢いでPhiladelphia Museum of Art も見られるのではないかと思い，歩いていってみる．ところが， 歩いてみると意外に遠い．すぐそこに見えているような気がするのだが，実は 建物が大きくて，しかも間に何もないせいだった．結局科学館から１０分ほど 歩いて，Philadelphia Museum of Artに行ってみた．大きい．左右対称でギリ シャ神殿風の建物は，とてもじゃないが１時間や２時間で回れる大きさには見 えない．ガイドブックによれば，全米で第３位の規模だそうだ．これは明日に 回した方がよさそうだということで，中に入らずに引き返す．建物前の石段で， 旗を持った添乗員率いる日本人の団体さんが記念写真を撮っていた．戻る途中 で，おなじみのSUBWAYでCrub and Seafood Subs とコーヒーで昼食．$3.95．
学会の午後のセッションは２時からで，かなり時間がある．そこで，近くに ある Museum of American Art に行ってみることにした．ここはアメリカ人に よる美術を集めた美術館で，美術学校併設なので入場料は無料だ．建物の前で は，数人の学生がモデルを囲んでデッサンをしていた．中に入ると，建物は小 規模ながら迫力のある絵画や彫刻がたくさんある．係員のお姉さんに「かばん を預かりますよ」といわれて，かばんを預けて中を見てまわる．内容が American Artだから，古いものでも１９世紀中盤の作品である．古典的な作品 から，印象派的なもの，現代美術まで年代を追って展示してある．なかなか楽 しめた．そのあと，売店に行って花の写真集，犬のしっぽが動くパラパラ，モ ダンアート画集のIBMPCソフトを買った．$27,71．預けたかばんを引き取りに 行ったら，，さっきのお姉さんがサンドイッチをぱくぱく食べていて「あらす みません」．
その後，学会に午後のセッションを聞きに行く．午後のセッションは，前半・ 後半とも「SWICHBOARDコーパス」関連である．このセッションは活気があって なかなか面白かった．アメリカの研究者十数人が４年間続けているワークショッ プの成果をまとめて報告するという形式で，スタッフの写真をOHPで写したと ころでは，内輪受けの笑いがあちこちから漏れていた．
セッション終了後，宿に戻って一休みし，夕食に出かける．せっかくアメリ カに来たのだからステーキでも食べようと思って歩き回るが，なかなか適当な ところがない．しかたがないので，近くのイタリア料理屋に入る．昨日のイン ド料理屋は静かな雰囲気だったが，ここはとても賑やかだ．昨日の夕食で懲り たので，できるだけ少なめに頼んだ…はずだったのだが．ビールと日替わりスー プ，ピーマンの前菜，ステーキがあったのでそれを頼んだ．「その他にスパゲ ティは？」とウェイトレスのお姉さんが聞くので，それはいらないと言ってお いた．しばらくするとテーブルにおつまみ（ガーリック風味のトマトソースが 載ったパン），パンとバターが運ばれてきた．このパンは食べ放題で，なくな ると追加してくれる．料理がなかなか来ないので，その間にパンをつまんでい るとけっこう食べてしまうものだ．スープは米と豆が入ったコンソメスープ， 前菜は赤ピーマンとツナの冷製．この前菜がまたけっこう多かった．ここまで でけっこう食べてしまっていたので，少々不安に思っていたところに，ステー キがやってくる．予想通り，200gはあろうかという大物である．しかも，小皿 にスパゲティミートソースがついていた．思えば，最初にお姉さんが「スパゲ ティうんぬん」と言っていたのは，「スパゲティがつくけど何にするか？」と 言っていたのか．そういうわけで，昨日に引き続き，必死で食べる．肉の味は まあまあだが，あまり味付けされていないので，塩胡椒をかけて食べる．そう いえば，４年前にバンフで食べたステーキもこんな感じで，備え付けのクロー ブ味のソースをかけて食べたっけな．スパゲティは麺がゆだりすぎていていま いち．何とか全部食べおわり，カプチーノを頼む．カプチーノを飲んでいると， 甘そうなケーキを皿いっぱいに乗せてウェイトレスがやってきたので，それは お断りした．しめて$31.55で，ちょいと高くついた．チップを５ドル置いて， 宿に戻る．明日は安いところにしよう．
宿から家に電話．ついいつもより長話をしてしまったような気がする．その 後シャワーを浴びて（結局昨日はシャワーを浴びずじまいだった），下着と靴 下を洗濯する．
朝５時ごろ起床．もはや時差ぼけなんだか何なんだかよくわからない．どう せ時差ぼけなら，明日まで直らないでいた方が好都合だ．ノートパソコンで仕 事をして，８時前頃に持ってきた仕事をすべて終える．その後朝食．例によっ てマフィンとコーヒー．
８時半頃に宿を出て，会場に向かう．今日の午前中はポスターセッションを ２つ連続で聞く予定だったが，ポスターのうちめぼしいものは最初の２０分ぐ らいで見てしまったので，講演の「多言語処理１」を聞く．後半も同じように 講演とポスターを掛け持ちした．今回のポスターは面白い発表がいくつかあっ て，収穫だった．
１２時前に会場を抜けて，昼食を食べに行く．どこで昼食を食べようか迷っ たが，毎日SUBWAYというのもあまりにも芸がないので，今日は中華街に行って みることにする．中華街は，会場から７，８分歩いた所にある．中華街に入る と，快餐（ファーストフード），素食（ベジタリアンレストラン）などの看板 があって面白い．入る店を探してうろうろしていると，何やら鐘と太鼓の音が する．見てみると，シンガポールの国旗（？）を振りながらパレードをしてい る．獅子舞もやっていて賑やかだ．いったい何のお祭りかな．パレードを歩い ているおじさんに，旗を１本もらった．
昼食をどこで食べようか迷ったが，ベトナム料理兼中華料理屋があったので， そこにする．中に入って，``Chicken Lo Men''（チキンラーメン？）というの を頼んだ．部屋の一角では，大家族らしい中国人の集団が昼間からフルコース を食べまくっている．その集団にはどんどん料理が運ばれていくが，私の料理 はなかなか来ない．しばし待った後やってきたのは，鶏肉入りのやきそばだっ た．肉が香ばしくてうまい．$5.79．
中華街から Philadelphia Museum of Art に向かう．会場から見て美術館と 中華街は逆方向なので，歩くとけっこう時間がかかる．美術館に行く途中， Franklin Parkway で，また何かのパレードをやっていて，たくさんの人が民 族衣装を来ている．看板などを見てみると，今日は「ポーランドの日」らしい． 民族衣装の子供たちがたくさん並んでいた．
パレードを通り過ぎ，あらためて美術館の前まで来ると，やはり大きい．中 に入ると，係員に「デイパックは手に持ってくれ」といわれたので，また降ろ す．予稿集が入っているので，手にさげると結構重い．入館料は$7.00．午前 中にくればただだったのだが…残念．中に入ると，大きなホールと階段があっ て，１階にも２階にも展示がある．どこから見ていいかわからない．とりあえ ず１階の入り口横の展示から見始める．
最初は１９世紀半ばから１９世紀末にかけての展示．昨日見た Museum of American Art と時期的には重なっている．この辺の展示は印象派が中心で， セザンヌ，モネ，ゴーギャン，ゴッホ，ルノアールなどのビッグネームが並ん でいる．このあたりを見ている途中，ICSLPに参加している知り合い数人に会 う．みんな考えることはたいして変わらないようだ． 奥に進むとモダンアー トのコーナーで，アンディ・ウォーホールやラウシェンバーグ，カンディンス キー，パウル・クレー，ピカソなどの作品が並んでいる．マルセル・ドゥシャ ン（綴りが Duchamp だというのを初めて知った）だけ専用の部屋が１つある． この辺の印象派とモダンアートに時間をかけすぎたため，後で時間が足りなく なってしまった．ここまでで１時間以上かかっているが，まだ全体の６分の１ だ．２階にあがると，１９世紀から１８世紀，１７世紀と時代がさかのぼって いく．その時代の部屋を再現した部屋がたくさんある．しかし，この辺でいい かげん疲れてきた．椅子を見つけるたびに，座って一休みしながら歩く．
２階の半分を見おわった（これで全体の３分の１だ）ところで午後４時近く になってしまった．日曜日は午後５時で閉まるので，残りをほとんど流しなが ら見る．２階の真ん中には，武器と鎧のコレクションがあり，中世の騎士が着 ていたような鎧や槍がずらりと並んでいる．２階の残りの部分は１２世紀から １６世紀のヨーロッパ美術のコーナーだが，この辺の展示品になると，絵画は ともかく，調度品などは美術館というより博物館の趣がある（英語ではどちら もmuseumだけど）．ともかくこの辺はキリスト教一色である．そこから下に降 りるとアジア美術のコーナーで，中国，日本，インドなどの美術工芸品が並ん でいる．インドの寺院の遺跡や，日本の茶室などが再現してある．この辺はほ とんど通り過ぎてしまった．日本のコーナーはほとんどパスしてしまったが， 後で調べてみると北斎などがあったらしい．
１，２階のほかに地下があるのだが，地下は売店を見ただけで他はすべてパ スしてしまった．売店では，この美術館の収蔵品の解説書を買う．$18.14．こ の売店でお土産でも買おうかと思ったのだが，お土産というよりも美術専門書 が多かったので，それ以外には何も買わなかった．
５時近くなったので，美術館の外に出る．足が痛い．大きいとは思ったが， 予想以上だった．そのままよろよろと宿に帰る．宿までの道が長く感じられた （実際結構長いのだが）．宿に戻って部屋に行くと，掃除のおばさんが掃除を 仕上げるところだった．
宿で荷物を降ろして一休みした後，夕食を食べに行く．一昨日・昨日と贅沢 な夕食だったので，今日は質素な食事ということで，近くのWendy'sでスパイ シーチキンのハンバーガーを食べて夕食にする．$5.54．ハンバーガーとポテ トとコカコーラだけだが，結構お腹いっぱいになる．帰りに食料品店に寄って， お土産に食べ物をいくつか買い込む．約$10.50．この店では，カップヌードル から味の素，粉ワサビ，納豆や豆腐も売っている．日本食もずいぶん手軽にア メリカで買えるようになったもんだと思ったら，表に「日本の食品」とわざわ ざ書いてあった（英語だけど）．そうだろうなあ．これがスタンダードだとす るとちょっと恐いものがある．
宿に戻って荷物を整理．予稿集のせいで，スーツケースがやたらと重い．荷 物減らしに，以前買ったパンとワインを飲み食いする．ワインは全部飲んだが， パンは半分ぐらい余ってしまった．その後シャワーを浴び，寝る．
０時ごろいったん目が覚める．今日は５時頃に宿を出なければいけないのだ が，寝過ごしてはまずいと思うとなかなか寝られない．時差の補正のため，こ のまま起きていることにしよう．日記を読み返して，手直ししたりする．さら に時間があるので，ソリティアで時間をつぶす．
４時半頃にフロントに降りていくと，初日に食堂を教えてくれたおじさん (David)が座っている．この人が夜のフロント係のようだ．カウンターに今朝 のマフィンを置いて，コーヒーの缶を開けていた．缶をくわえてつまみを回す タイプの缶切りだったが，そうでない缶切りのようにすこしずつギザギザに缶 を開けていた．「どうもこの缶切りは苦手でね」といって笑うのだった．チェッ クアウトし，値段を計算してもらったが，６泊を７泊と間違えるなどちょっと 手間取った．タクシーを呼んでもらい，朝のマフィンをもらって宿から出る． この宿ともお別れか．ボロだけどまあまあな宿だったね．
タクシーで空港まで行く．空港までは$20.00．ユナイテッドのカウンターに 並ぶが，受付が全然進まない．朝のためカウンターが１つしかやってない上に， 私の２つ前の客が何だか知らないが長引いていて，２０分ぐらいねばっている． まあ，時間はあるから別に構わないが．ようやくチェックインがすんで，搭乗 ゲートに向かって歩く．途中に売店があったので絵葉書でも買おうかと思った が，絵葉書は残念ながら売っていなかった．搭乗ゲート前での手荷物チェック では，なぜかノートパソコンが引っかかって「空けて電源を入れてみろ」と言 われた．そのとおりに電源を入れると問題無く通してくれたが，いったい何だっ たのだろう．搭乗ゲート近くでジュースを買い($1.50)，ジュースとさっきも らったマフィンで軽く食事．
ＡＴＲのグループがいっしょの飛行機だったので，ちょっと話をする．しば らく時間をつぶしていると，７時前に搭乗が始まった．今回は３人がけの席に 一人で座る．余裕だ．飛行機は２０分遅れて，7:40に出発．到着は時間どおり ということだった．水平飛行に移ってしばらくすると，朝食が出た．果物（メ ロン，ブドウ），りんごジャムのパンケーキ，マフィン，コーヒー，オレンジ ジュース．機内ビデオでは「ドラゴンハート」をやっている．面白そうだが， ヘッドホンに金がかかるので見ない．食べ終わったところで，風薬を飲んで寝 る．睡眠薬代わりということもあるが，どうも鼻の具合が悪い．
機長のアナウンスで目が覚める．現在デンバー付近を飛行中といっているよ うだ．あと２時間ということは，これまで２時間ぐらい寝たのか．もう少し寝 たいところだが，目が覚めてしまったのでしばらく外を眺める．眼下は一面の 雲で，雪の平原のように見える．しばらくすると雲は切れて，ロッキー山脈の 連なりが見えてきた．
ロッキーを過ぎてしばらく行ったところで昼食．今回は例の機内食の皿では なく，箱に入っている．ビーフのサンドイッチ（マヨネーズ付き），ポテトチッ プ，チョコレートバー．飲み物はオレンジジュースを頼む．それにしてもアメ リカンな昼食だ．昼食のあと，しばらく外を見ながら過ごし，サンフランシス コに到着．サンフランシスコでは免税店でお土産を買う．あまり免税店で買い 物はしたくないが，まあしかたないか．総額$105.00．そこから手荷物チェッ クを通って搭乗ゲートへ．ここでも手荷物チェックがやたらと厳しく，またノー トパソコンをチェックされた．なぜだか聞いてみたら，ノートパソコンの中に 何かを隠していないかのチェックだそうだ．ノートパソコンは中がＸ線で見え ないので，実際に開けて動作確認させるのだそうだ．ゲート近くのお土産や （ここもＤＦＳだった）で，ミッキーマウスのぬいぐるみとサンフランシスコ の絵葉書を買う．$21.60．
出発ロビーでしばらく待っていると，「機材変更のため出発が３０分遅れる」 というアナウンスがあった．一度ならず二度までも，という感じである．次に アメリカに来るときはノースウェストあたりにしようかな．しかも，「サンフ ランシスコ以外でチェックインした人は，席が変更になる可能性があるのでカ ウンターまで来い」というアナウンスがあったのでいってみると，見事に変更 になっていた．まあ乗り損ねなかっただけマシか．
結局，出発は２時間以上遅れ，午後１時半を回ってから離陸した．これから さらに１０時間半飛ぶかと思うと，うんざりだ．隣に座ったのは，ワシントン ＤＣからきたという女の子で，いかにも学生風だ．出発直後に，ピーナツとビー ルをもらって飲み食いする．日本時間の早朝だが，出発前に頭痛薬を飲んでお いたせいか，非常に眠い．離陸してから食事が来るまでに一眠りする．機内食 は，牛肉の照焼きソース，サラダ，パン，ナッツの入ったよくわからないお菓 子，オレンジジュース．昼食なんだか夕食なんだか良く分からない状態である． 機内食を食べた後，暇つぶしに持ってきておいた「遺伝的アルゴリズム」を読 むが，やたらと誤植が多く（ほとんどの個体が「固体」になってるし…），嘘 もたくさん書いてあって（ヒューリスティックサーチで最適解が求まらないと か）いやになって読むのを止めてしまった．2000円以上もしたのに，もったい ないことをした．本を読むのを止めて，ひたすら寝る．寝心地はお世辞にも良 いというものではない．機内は非常に込んでいて，真ん中の４人席の中央だっ たこともあり，まったく身動きが取れない．寝ていると，ときおりあまりに腰 が痛いので目覚めて，姿勢を変えてはまた寝るという状態であった．
到着３時間ほど前に目覚める．結構寝たようだ．そのまま２時間ほどほんや りとすごす．到着１時間ちょっと前に，機内食が出る．ローストビーフ，米み たいな形のパスタ，パン，果物（パイナップルとブドウ），オレンジジュース， コーヒー．斜め前３列当たりで子供が盛んに泣きわめいている．自分の娘のか つての夜泣きを思い出す．
15:30ごろに成田に到着．２時間出発が遅れた割には，到着の遅れは１時間 ちょっとだった．入国ゲートを通り，とりあえず家に電話を入れる．税関を無 事通過した後，手荷物のあまりの重さに，おもわずカートを買ってしまう． 3090円．みどりの窓口で成田エクスプレスと山形新幹線の指定をとり，ＪＲホー ムへ．ホームの自販機でリアルゴールドを買う．110円．
成田エクスプレスは16:43発．非常にすいていたが，第２ターミナルでどっ と人が乗ってきて，ほぼ満員になった．前に座った若いサラリーマンはパソコ ン雑誌を読んでいる．１０分ほど走ったところですっかり眠り込んでしまい， 目が覚めたのは東京駅までもうすぐのところだった．時差だか何だかよくわか らないが眠い．
東京駅に着いて，総武線から新幹線ホームまで行くが，荷物がでかくて重い ため非常に苦労する．カートで引いても重いし，何といっても上下の移動が非 常に多い．新幹線ホーム入り口の前で鳥めし弁当を買う．750円．新幹線ホー ムから家に電話したら，夕食を待っているというので，弁当は食べないで持っ て帰ることにする．自販機でお茶を買う．110円．
新幹線は16:24発で，毎度おなじみの電車だ．指定席で，ちょうどとなりが 開いているので楽だ．すこし日記をつけるが，そのうち電池が切れたのでお休 み．途中で寝ると時差調整にならないので，持っていった「すぐわかる多変量 解析」を読む．20:40に米沢に到着．米沢駅で，いっしょに英会話に通ってい る大越さんに会う．そこからタクシーで自宅まで600円．ようやくついたー．