この文書は，C言語を既に知っている人のためのC++入門だ． C++はCをベースにしたオブジェクト指向言語で，見た目はCによく似ている． 実際，Cの知識が役に立つ部分も多い．そこで，この文書では， Cの知識を前提にしつつ，CとC++との違いに重点を置いて解説を試みようと している．
C++は何かとCよりも複雑な言語だ．C言語は，高級言語とはいえ， それがどのような動作をするかは（アセンブリ言語を知っている人なら） 容易に想像することができる．C言語が「高級アセンブラ」と言われる ゆえんである． 見た目からは想像もできない動作 というものはC言語にはほとんど存在しない．これに対して， C++は，その見た目に比べて中身はずっと複雑である．そのため， 面倒な処理が単純に書けるという利点がある反面，見た目から その動作がわかりにくいという欠点がある．うまく使えば 開発の効率があがる反面，不可解なバグが出る可能性も高くなるのだ． この特徴が吉と出るか凶と出るかは，ひとえにプログラマの 腕と心がけ次第というわけだ．